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普段なら日替わり定食を頼むところだが、さっきの話を聞いた後だと、どうしても別の物を頼んでみたくなる。
「俺も、焼き鮭定食で」
「はあい! 少々お待ちくださーい!」
店員はそう叫ぶと、厨房へと戻っていく。
「加賀、日替わり定食じゃないのか。めずらしいな」
「なんとなくな」
「このお前の行動が、世界を動かすきっかけに──」
「なるわけないだろ。たかが定食を変えただけでよ」
そうだよな、と日向と加賀がひとしきり笑うと、二人分の焼き鮭定食が運ばれてきた。
ところで、飲食店の会計処──所謂POSレジには集計機能があり、商品ごとの売り上げなどをクラウド上に集めることができる。その結果を基に、本社で新規企画等の議論が行われる。つまり、加賀の焼き鮭も「一票」として集計されたわけである。
加賀が焼き鮭を食べた数日後に、定食屋の本社ビルで企画会議が行われた。会議室のスクリーンには、ここ数か月間の累計売上数が円グラフにまとめられている。
「集計結果ですが、焼き鮭定食がカルビ定食を13票上回って、最も人気になりました」
「なる程。では、次のキャンペーンは鮭を前面に押し出してみよう」
この本社の意向によって、定食屋は『シャケ・フェスタ!』の広告とイベントを打ち出す戦略を打ち出すことになった。
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