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麗奈がフレデリックからルーカス家の晩餐会の話を聞いたのは八月上旬の事だった。
「晩餐会って言っても立食だけどね。
でも正装だから舞踏会みたいだしスポンサーが沢山招待されてくるからうちのスケーターもみんな行きたがるよ」
海外では食事会と言えば試合後のバンケットくらいしか参加していない。
「君くらい英語が話せたら何処でも平気だよ。
僕がエスコートするから一緒に行かない?」
そう言われてもパーティー用のドレスは持って来ていない。
「あと十日くらいあるしどこかで見繕う事もできるけど…」
「実家にたくさんドレスがあるので送ってもらうようにします」
あれから数回、
彼は練習場にやってきたがこちらが避けているといつの間にか現れなくなった。
この忙しい時期にいつまでも日本を離れているわけに行かないだろうしとっくに帰国しているだろう。
ホッとした反面寂しいと思う自分の身勝手が嫌になる。
ひとまず日本の沙羅に連絡してパーティードレスを送ってもらう事にした。
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