断片

3/9
前へ
/52ページ
次へ
「わかった、 すぐに何着か送るわ。 早く言ってくれたら新しく誂えてもよかったのに」 沙羅は嬉しそうに電話の向こうで請け合ってくれた。 山ほど送られては困るので麗奈は一応付け加えておく。 「万が一の予備の二着くらいでいいから」 案の定沙羅はガッカリしたように言った。 「あらそう…そう言えば大翔君は元気?」 「え?」 「そっちに居るでしょう? 仲直りしたなら一度帰って来ればいいのに」 意味がわからず麗奈は無言になってしまう。 不穏な感じが伝わったか沙羅が少し慌てた様子になる。 「え…もしかしてそっちにはいないの?」 「わからない…もう何日も来ていないから」 「そんな事って…。 うん、 わかったわドレスも全部任せて麗奈ちゃんは気にしないで」 最後は沙羅は力強く締めくくった。 ヒロト君が帰っていない? そんな、 まさかどこかで事故にでも。 電話してみようかな。 だけど散々向こうの連絡も無視しておいて今さら。 どうしたらいいんだろう?
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加