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「先生!」
「君は誰だ?
失礼だな」
タキシードの漣先生が立っていた。
ブロワ氏が掴まれた手を振り払う。
「ムッシュ、
彼は麗奈のコーチで桐生…」
ルーカスが慌てて紹介しようとするが先生はそれに被せるように言った。
「日本じゃ気安く触るとセクハラだ。
どこの国だって相手に嫌がられてればそうだがな」
「何だと!」
髪の毛の薄い頭皮に血の色が浮いた。
ルーカスが再び間に入ろうとすると後ろから誰かが声をかけてきた。
「皆さんこんばんは」
反射的に皆が振り返ると、
見覚えのある日本人男性がいた。
「ムッシュブロワ、
初めまして葛城といいます。
普段はニューヨークで働いているんですが休暇を取って友人とカナダに来ました」
「ニューヨーク…カツラギ?
まさか葛城物産か!?」
葛城さんは静かに微笑んでいる。
「これは…いや、
私が失礼した」
ブロワ氏はそのままパーティーの人混みにまじって見えなくなった。
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