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「麗奈!」
その時フレデリックが人垣をかきわけてやって来た。
「ドリスに捕まってた。
なにか揉めてたみたいだけど大丈夫?」
「ううん。
先生がいたから」
漣先生と葛城さんはいつの間にか場の主役のように人々に囲まれている。
二人とも身近なようでいて世界的スケーターと日本経済界のトップなのだ。
「ごめんね。
何か食べる物をとってきてあげるよ」
「それなら私も」
中央のテーブルにたくさんの料理が並べられている。
麗奈が好きな鴨肉を器に取り分けていると、
フレデリックが言った。
「今日の君は本当に素晴らしいね。
飾らなくてもいつも綺麗だけど」
「…ありがとう」
沙羅が選んでくれたのは光沢のあるグレーのミニ丈のドレス。
襟ぐりにフリルをあしらっただけのシンプルなデザインだが麗奈は気に入っている。
「その首飾りはエメラルド?」
「ええ」
アクセサリーを選ぶ際、
何の気なしにあのエメラルドを着けるとそれは麗奈の肌の色やドレスによく映えた。
「君の美しさをよく引き立てているよ。
優雅で気品があってまるで君みたいな宝石だね」
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