激昂

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「今なんて?」 パーティーの翌日、 私が一人で練習していると漣先生がやって来て言った。 「だから、 大翔がニューヨークに行くらしい。 こっちで知り合った女と」 「え?」 待って、 意味がわからない。 「お前が相手にしてやらないからおかしくなった。 可哀想に」 「私には…関係ないです」 「ふーん」 ヒロト君に他に好きな人ができた、 その人と別の土地に行く。 いっそその方がスッキリしていい。 「もう日本に帰らないかも知れない。 いいのか本当に」 「私は…」 それでいいです。 そう言いたいのに言葉が出てこない。 「会っておかないと後々悔やむ事になるんじゃないのか?」 見透かしたように先生は畳み掛けてくる。 「なら選ばせてやる。 今会いに行くか一生会わないか、 簡単な二択だろう?」 突然選択を突きつけられ、 考えていると先生に腕を取られた。 「氷から上がってこい。 迷ってるくらいならハッキリと決着つけろ」
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