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プロローグ
小さい頃から、本を読むのが好きだった。
お昼寝の前に母親が読み聞かせてくれた絵本から始まり、物語が読みたいがために他人よりも早くひらがなを覚え、幼稚園の頃には簡単な漢字混じりの童話でも一人で読めるようになっていた。
小学生の頃、一冊の本に出逢った。
運命の出逢いだったと思う。
それは、小学校低学年の少年には、少し不釣り合いなホラーだった。
童話から児童文学、更には推理小説へと触手を伸ばしていっていた彼が、推理小説の延長でホラーへと辿り着くのは時間の問題だったのだが。
その本は、ホラーだったけれども、彼に「せつない」という感情を教えてくれた。
胸が痛くなるような「せつなさ」。
その結末に、彼は初めて、物語に感動して涙を流すという体験をしたのだ。
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