妊娠…プレゼント

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 言い終わってダーリンと一緒に席に座ってみんなの反応を見た。みんなビックリしてる。あまりにも衝撃的過ぎて頭が追い付いていないみたい。もう言うべきことは言った。みんなが私と彼を軽蔑してここを去っても構わない!それでもいい!ダーリンと二人だけでも生きていけるんだから!でもみんなを信じたい!だって私たちは友達でしょ!人種差別なんか乗り越えて毛だらけで全身真っ黒なダーリンを私との結婚を祝福して!  私がお願いだから毛だらけで全身真っ黒なダーリンを受け入れて上げて!と目を閉じて祈っていると、何故かみんながぷぷっと笑い出したの。な、なぜ笑うのと言ったらみんな口々に訳のわからない事言い出したの。 「サル子ったらぁ、悪い冗談はやめてよ~。妊娠っていうからびっくりしちゃったじゃない~、もう!」 「あ~あ、面白かったぁ~!」 「ププッ!お猿さんがダーリンなのね!可愛い(笑)」  そして、みんな一斉に私とダーリンを指さして大爆笑するの。 「サル子~!私もサル飼いた~い!」  私は湧き上がる怒りにたえられなかった。ここまで人種差別主義が蔓延していると思わなかった。私の友達までここまで人種差別思想に侵されているなんて!日本人は毛だらけで全身真っ黒なダーリンを決して人間と認めない、ましてや毛だらけで全身真っ黒な男と愛し合い、男と子供を作ることなんてことはありえないと認識している、という現実を今まざまざと見せつけられたの。すべてに絶望した私は立ち上がると、友達で出ていけ!と言った。出てけって何度も叫んだ。 「みんな早く出ていけ!出ていけ!出ていけ!」 「サル子ど、どうしたの?まさか、もう酔っちゃったの?と、とりあえず今日はみんな帰るからね!サル子楽しかったわ!またお猿さんに会いに来るからね!」  と慌てて友達みんな逃げるように帰っていった。あとに残されたのは飲みかけのワインと、食べかけの料理と、虚しくろうそくだけが消されたバースデイケーキだけだった。ケーキに差してたロウソクが何本か倒れて生地にめりこんでた。
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