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これ、ゴリラじゃない!どっからこんなの連れてきたのよ!私は頭にきて、
「アンタ!ちゃんと写真見たの!これどう見てもゴリラでしょ!一体どうやってこんなの連れてきたのよ!」
って言ったら、ジジイは泣きながらヘタな言い訳なんかし始めたの。
「なんでー、これ写真にそっくりだよー。みんなに見せればわかるよー。だから、はやく、はやく。おすし、おすし!」
だまらっしゃい!なにが寿司だ!私はもう完全に頭にきてジジイをゴリラごとぶっ飛ばしてやったの!さっさと出てけって!
あ~腹が立つ!やっぱりホームレスなんかにダーリンを探させるんじゃなかった!と後悔しながらエントランスルームから部屋に戻ろうとすると、玄関から、「ボクも写真にそっくりなのつれてきたよー」「ぼくもつれてきたよー!」「動物園にたくさんいたよー」といいながらオジサン達がわらわらと大勢入ってくるの。もうエントランスルームの中は動物園状態!チンパンジーやら、ゴリラやら、オランウータンやら、マントヒヒやら、熊やら、黒豹やら、挙げ句の果てはオットセイまで……。
「アンタ達!毛だらけで全身真っ黒なら何でもいいと思ってるの!いい加減にしなさいよ!出て行け!みんなこっから出て行け!」
て追い出そうとしたらこの連中までとんでもないこと言い出したの。
「おすしはー、おすしはー!うそつきー!写真と同じ動物連れてきたらおすし食べ放題ていってたのにー!」
愛しのダーリンを動物ですって!もうみんな、この後私がコイツラをどうしたかわかってるよね。もうギッタギタのボッコボッコにして叩き出してやったの!
オジサン達と動物達を玄関から放り投げてやってから時間が経つけど、まだあたりはオジサン達の連れてきた動物達の臭いで充満している。もうしばらくは取れそうにないほどに……。私は臭いを嗅いで何故かダーリンの顔を思い浮かべた。そういえば……ダーリンもこんな匂いしてたっけ、鼻をつくような野生の香り…それはサバンナの香りなの……?ダーリンのことが勝手にいろいろ思い浮んでくる。ババナを頬張る楽しそうな顔、ウキーと吠える怒りん坊の顔、愛し合ったあとの満足した顔。そのほかいろいろ短い間だけどいろんな思い出があり過ぎるよ!また涙が出てる。私っていつの間にこんな泣き虫になっちゃったの?でも、でも……。
逢いたい…。ダーリン、もう一度逢いたいよ……。涙がとまらないよ!帰ってきてよ!ベイビーと二人であなたを待ってるんだよ!あったかいお料理も作って待ってるんだから。
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