妊娠…思わぬところに救世主?

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 するとコイツは訳のわからない言い訳を始めたの。 「す、すみませんでした!以前魔が差して、帰る時にサル子さんを家まで尾行したことがあったのです。マンションの玄関の前まで貴女をつけ、貴女の美しい背中がドア越しに消えるのを見送ってから、僕も玄関からマンションに入り、そして郵便ポストに貴女の名前を見つけると、何度も何度も目で確認しながら、震える手で部屋番号をメモしました。こんな恥さらしなことをしたのは認識論者として愛する宿命の女、僕にとってのルー・ザロメ、つまり貴女のすべてを知りたかったからです!僕のしたことは犯罪スレスレで問題のある行動で有ることは確かですが、僕にこんなことをさせた、あの時の貴女の言動にも責任の一端はあるのです!思い出して下さい、僕がラブレターを出したあの日のことを!あの時、貴女は童貞で純粋無垢な僕に、毛だらけで全身真っ黒な彼氏がいると言いましたね。僕がそのことを聞いてどんなに傷ついたか貴女は考えた事がありますか?なかったら今考えてください!貴女のせいで僕の心は認識論では認識できないぐらいに混乱し、一時はあのニーチェのように発狂しかねない状態になり、ついには……」 「やかましい!いつまでもグチャグチャと喋って!このド変態が!いつ終わんのよアンタの無駄話は!で、今日は一体何の用で来たのよ!」  ちょっと怒鳴ったらはシュンとなって、しなびたもやしみたいになって黙っちゃったの。  私はこのド変態をさっさと追い払おうとして、さっさと帰れとをインターホン越しに見たら、ヤツは何か大きいバッグもっててそれを大事そうに何回も擦ってるの。ゆっくり持ち上げてチャックを開けてなか覗いたりしてね。よくみたら、私と同じバッグ持ってるじゃない!まさか!アイツ掲示板見てダーリンを探してくれたの?掲示板なんて私ですら存在を忘れてたのに。でも彼、さっきダーリンの存在に傷ついたとか言ってじゃない!なんでそんなのわざわざ探すの?
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