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私は思いっきり息を吸い込んで一息つくと、この新入猿の認識力社員が持ってきたボロい本を残らず投げつけてやった!
「なにが猿の認識力よ!なにがたかが知れてるよ!アンタなんか猿程度の知性もないくせによく言うわ!」
奴はもうビビっておしっこなんかチビリそうなの。
「ぼ、ぼく、なにかサル子さんを怒らせるようなこと、し、しましたか?」
コイツはまだ何で私がこんなに怒っているのか理解すら出来てないの。だから言ってやったわよ。このバカに!
「ええ、したわよ!私の命より大事なものを思いっきり侮辱したわよ!訳のわからない本なんか大量に読んでるんだからわかるでしょ!その理由をアンタの好きな形而上学とやらで認識して考えてみなさいよ!」
そして私はコイツとバッグをむんずと捕まえてベランダから放り投げてやったの。冷静になって、新入社員が死んだかと慌てたけど、彼とバッグは木の枝に引っかかってたんで安心したの。ああよかった殺人犯にならなくて!新入社員ときたら木の枝でおもらししながらピーピー泣いてるの。おもらしなんかしちゃって近所迷惑じゃない、もうやめてよ!ああ!情けない!こんなもやしみたいな男のくせによく私を口説けたもんだわ!
誰もいなくなった部屋で私はまた人ぼっちになった。彼を探そうにも手がかりはなく、そしてまた熱が戻ってきた。さっきの騒ぎは何だったのだろう。あれは完全な私の勘違いから起きた出来事だった。やっぱり、私病気なのかしら、ダーリンがいない寂しさに心まで病んでしまったのかしら?熱にうなされて薄れる意識の中で私は何度も呟いた。
ダーリン、今すぐ逢いたいよ。やっぱり一人じゃダメだよ。
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