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第一話 わだかまる
面白くもおかしくもない人だなと思った。
すごく、すごくタイプなのに話題がすぐに尽きてしまう。
恐らく顔面の偏差値の高さによって、今まではこのつまらなさも許されてきたのだろうと察しがつく。
私が知らない名前の人の話を延々としている。
瑛士の話も大概つまらなかったが、この人はやつの比ではないなと感じた。
もうやめよう。
瑛士のことを早く忘れたくて数人の人と会ってみたけれど、ぬかるみにハマってしまったような気がする。
「なんかもうどこに向かってるのかわからなくなってきた」
そうぼやく私の顔をちらりと見た慶一郎ははげんなりとした顔をしてそう辛気臭い顔するなよと言った。
「いやいや、あんたの友達に厄介払いされたせいなんですけど」
慶一郎は冷笑すると、瑛士は妥当な判断をしたと思うぞと言った。
「さんざん悩んでたどり着いたのが私より一回りも上の人ってさあ・・・」
「中身が勝敗を分けたな」
「マジで時間泥棒だよ、あいつは」
ぶつぶつ言う私に、慶一郎はなぜもっと早くあいつの変化に気が付かなかったのだと責めるように言った。
「なんで今更そんなこと・・・」
なんとなく気が付いていたが背を向けていたのだ。
「気付いてないフリしてただろ」
「・・・。思考を停止してただけ」
へ~と感情のこもらない声をだすと、慶一郎はまあ、最後は潔くきっぱりと別れてやったよなと一応褒めてくれた。
「終わったんだよ、おまえと瑛士は」
「わかってる」
そうは言ったものの、それを受け入れるのは遠い先のことになりそうだなと思った。
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