澱と澄

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澱と澄

 風に勝った負けたなんて、どうでも良い。だって、やっと彼女は振り返った。俺を見ている。長い睫毛で絡めとるようにして、冷涼な瞳に俺を映している。  その姿は、警戒心の強い黒猫だった。
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