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第1話 日常の終わり
俺の名前は、坂木 潤 26才 会社員 。
顔は平凡、特に際立った才能もなく抜きん出て仕事ができる訳でもない普通の男。
毎日、早起きして会社に行き仕事を終わらせて遅くに帰る。
そんな退屈な日常に嫌々していた頃、それはいつも通り会社を出て家路につく途中に起こった。
青信号で横断歩道を歩きだした時だった。
一台のトラックが信号を無視して俺に突っ込んできた。
ドラマか何かでは、通常その場に硬直して
動けなくなるけれど、何故か俺だけは違うと
その時までは確かにそれを信じきっていた。
そして事実、俺は体を動かそうとした。
しかし、一向に前へ進むことが出来なかった。
まるで、何かに身体を縛り付けられている
かのようにその場から動くことが出来なかったのだ。
死にたくない…死にたくない
俺は、何度もそう願った。
今まで神頼みなんてしたことなかったのにだ……。
しかし、その願いも虚しく徐々に視界が黒く染まっていった。
その様は、まるで眼前が血に染まっていくかのように見えた…。
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