第14話 守りたい人達

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第14話 守りたい人達

昨日はあれから殿下に言われたことをずっと考えていた。 そして結局、俺が眠ったのは朝日が昇ってからだった。 俺はベッドから起き上がると、用意された服に着替える。 薄水色の肌触りの良いシルクのシャツに腕を通し、ズボンを履く。 顔を洗っていると、扉をノックする音が 聞こえた。 続いて扉の開く音がしたので見に行くと ダークブラウンの髪を短く切り揃えた メイド服の女性が立っていた。 「おはようございます。 殿下にジュン様のお世話を任されました、 アメリアと申します。朝食の準備が出来ましたので、ご案内致します」 そう言われて案内されたのは、俺がいた 部屋の隣の部屋だった。 アメリアが扉をノックすると、中から声がする。 「入れ。」 中へ入ると椅子に座り本を読んでいた クラウス殿下が顔を上げ椅子から立ち上がった。 「来て早々悪いんだが、昨日の答えを聞かせてもらいたい」 「......私は...この国の人達をこの状況から 救えるなら喜んで力をお貸しします。」 すると俺のその言葉を聞いたクラウス殿下は 気が抜けた表情をする。 「私は...昨日のお前の様子から見て断られると思っていた。 考えを変えた理由を聞いてもいいか?」 「...正直に言うと私も迷いました。ですが、この国には私の大事な人達もいます。私はその人達を守ってあげたい...... あの...殿下は私が断ったらどうするつもりだったんですか?」 「説得するつもりだったさ。しかし助かった。私に協力するということは遅かれ早かれ命を狙われるだろう。だが安心してくれていい。私の側についたことで傷つけさせはしない」 「分かりました。殿下を信じます。 ....それであの聞いてもいいですか? クラウス殿下は何故隣の部屋に?」 「何故?と言われてもここは私の部屋だ。 この部屋の隣にお前の部屋を用意させた。お前には近くに居てもらわないと困るからな」 殿下の言葉に驚いた俺は表情には出さずに 言葉を続けた。 「あの...ではアメリアさんは?」 「お前専属の使用人だ。出来るだけ少ない人員で事を進めなければならない。安心しろ勿論アメリアも私の手のものだ。それに護衛もつける。お前の髪と眼の色は目立つからな1人で外出はするな」 言い終わると殿下が俺に向かって手招きする。 「立ち話はここまでだ。座ってくれ 朝食を食べよう。」 その後、進められるままに食事を終えると 殿下に俺の護衛だと言う人を紹介された。 「名前はダリウスだ。ダリウスにはお前の ことを事前に話しておいたから大丈夫だ。」 殿下がそう言うと、その男は無言で俺に頭を下げる。 背は高く180㎝以上はあるだろう。 茶色い髪は短く刈られており、頬に大きな傷があった。 しかし...この国の顔面偏差値はなんでこうも高いんだ...。 俺がじっと観察しているとダリウスと 目が合い睨まれる。 目力が強いせいか睨まれると凄い 迫力だった...... 「ダリウス睨むな。怖がっているぞ 見た目はこうだが優しい男だ。安心しろ」 殿下に笑顔でそう言われ俺は取り合えず 頷く。 しかし...安心できそうにない。 さっきから俺のことすごい睨んでくるし...... 「...あのダリウスさん、ジュンです。 よろしくお願いします。」 俺は恐る恐る彼に手を伸ばす。 すると案外、素直に手を握り返され 俺は胸を撫で下ろした。 「軽く王宮を案内する。その前にこれを 着ろ。」 殿下がそう言うと、フードが付いた外套を俺に渡してきた。
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