第15話 秘密の扉

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第15話 秘密の扉

昼食のあと、ダリウスに王宮を案内してもらうことになった。クラウス殿下はどうしても終わらせないといけない仕事があったらしく、渋々執務室に戻っていった。 俺が王宮で一番気にいったのは王室図書館だ。 ここには、国中から集めた書物から重要文書までたくさんある。この国の歴史を学ぶにはもってこいの場所だ。 どうやら俺はこの国の言葉を話せるだけじゃなくて、この国の文字も理解できるらしい。 日本では英語も得意とは言えなかった俺が、日本語ではない、言葉を理解できるなんて変な気分だ。 どうやら、書物に没頭しすぎていたらしい。気がついた頃には、日が暮れていた。 「まだここにいたのか」 振り返ると、クラウス殿下が立っていた。 「殿下どうして此方に?」 「お前がずっと此処にいるとダリウスから聞いた。もう部屋に戻っていると思っていたが、来てみて正解だったな。そんなにここが気に入ったのか?」 俺は没頭し過ぎていたことで少し恥ずかしくなる。 「...はい。俺は元々、本を読むのが好きで暇さえあればずっと読んでました。」 「そうか。ならばいつでも来られるようにしよう。それと王宮にいるのには肩書きが必要だ。お前は私の護衛ということにしておいた。そろそろ部屋に戻るぞ。アメリアが夕食の準備をしている頃だ」 部屋に戻ると、殿下のいう通り食事の用意がされていた。 「ジュン様。おかえりなさいませ。 食事の準備が整いましたので冷めないうちにお召し上がり下さい。」 テーブルの上には、豪華な料理が並べられていた。並べられた食事を見て、ふとミヤの顔が思い浮かぶ。 俺だけこんな豪華な食事を食べて、申し訳ない気分になる。ミヤはこんな俺の事忘れてないだろうか。そんな不安がよぎる。近いうちにミヤに会えないか、殿下にお願いしてみよう。 「あのアメリアさんとても美味しいです。ありがとうございます。」 「お口にあって良かったです。それとジュン様、どうかアメリアとお呼び下さい。さんは、不要です。」 「でも、俺はただの一般市民です。俺こそ様は不要です。」 そう俺が言うと、アメリアさんは優しく頬笑む。 「いいえ、私はジュン様専属の使用人ですので。今はジュン様に仕えております。 ですのでお気になさらないで下さい。」 アメリアさんが頑なにそう言うので説得は諦めた。 夕食の後、王室図書館で借りた本を読んでいたら、クラウス殿下に呼ばれた。 といっても隣の部屋なので、呼ばれている気がしない。 「殿下お呼びでしょうか?」 「あぁお前に、見せたい物があってな。一緒に来てくれ。」 そういわれ、連れていかれたのは、ほぼ半日過ごした王室図書館だった。 いつもは、兵が厳重に警備していると聞いたが、どうやら殿下が人払いしたみたいだ。 中に入ると、辺りは真っ暗だ。だが、殿下がランプに灯を点したらしく周りが微かに明るくなった。 「こっちだ。来てみろ」 気付いたら、殿下がランプを持って移動していた。その後を慌ててついていく。 隅の本棚まで来たところで、殿下が棚の一点を照らし、薄汚れた皮張りの本を棚の奥に押し込む。すると同時に音を立てて本棚が動き出した。そして新たに木製の古びた扉が現れる。 「クラウス殿下これは一体なんなんですか?」 「見ての通り隠し扉だ。行くぞ。」 殿下に続いて入ると、中は通路になっていた。 所々に蜘蛛の巣が張っていて、見た目からして、かなり古い通路で長い間誰も使っていなかったみたいだ。 通路を進むとまた扉があった。 「ここだ。先に入ってくれ」 そう言われ不思議に思いながら、部屋に入ると、見覚えがある絵が壁に描かれていた。 「殿下これって...」
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