2度目の恋

4/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「どうしたの?」  そう言われるのもわかっていた。  そう聞いて欲しかったんだ。  なのに僕ときたら、年甲斐もなく、口角が固く、結びついたようだ。 「そんなとこに立ってないで座りなさいよ」  君は自然に言葉を紡ぐ。  僕は心の行き場を探している。  だから言葉にするために、ゆったりと口を開いた。  回りくどい言葉はなしだ。  ありのままを伝えよう。 「君と学生のような恋がしたい」  なんとも滑稽な台詞に、僕は照れを隠せなかった。  君は目を見開いて、僕を見つめている。  驚いただろう。あまりに急すぎるのだから。  驚いた目は僕じゃないなにかを見るように、見開いた後、くすりと笑い、優しい眼差しに変わっていく。 「あなた、今、恋をしてる目をしているわよ」  この一言が全てを見透かすようで、柔らかな雰囲気は昔のままだ。  君に恋した僕は、また君に恋をする。  これが僕の他愛もない第2の人生。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!