サイドストーリー 2

3/3
前へ
/84ページ
次へ
「何してんの?」と小首をかしげる先生に、私は自慢の黒天使の微笑み(いつの間にか、そう呼ばれるようになった)で 「もちろん、相原先生の頑張ってる姿を、音無さんに送るんですよ」  そう言って送信ボタンに手をかけた。 「あ、あ、あああああ……、なっ、中山さん! や、やめて……。  俺、4日もシャワー入ってないから臭いの! すごく臭いの!  だめ! 響に見せないで!!  嫌われちゃう!! おねがい!!」  げっそりした顔で、涙目ってある意味迫力あるなあ~。  ホラー的な?  吹き出しそうになるのを、いかんいかんと、真面目な顔を作って 「じゃあ、その臭いのどうにかしてください!  そんな先生の姿見たら、100年どころか1000年の恋でも冷めますよ」  これ以上ないくらいに、冷たく言い放った。  ぎゃあー! という叫び声と共に、浴室へ飛び込んでいく先生を見送り、森さんへ連絡。 「森さん、先生やっぱり仮病です。担当者さん、騙されてますからー。  私帰っていいですか?」 「あら、早かったわねー。さすがだわー。やっぱり担当は中山さんにしてもらおうかしら……?  うちの編集者みんな結構忙しいのよー。ふふふっ。ついでに原稿受け取ってきてくれる~?  ちなみに締切明日の朝で」 「くっ!」  楽しそうな森さんの通話を一方的に切った。  ったく……。なんで、あたしが!?  こうなったら、今夜中に何が何でも原稿あげさせてやるわよ!  私は、舌舐めずりをした。ふふふ……。  さあ、どうやって書かせてやろうかしら……。 〈つづく〉w
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加