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 明子は、中学から6年間イギリスに住んでいた帰国子女で、高校3年時に私のクラスに編入してきた。 そして卒業後、こういうのを『腐れ縁』っていうのかな。 申し合わせたように、二人とも同じ大学の同じ学部に進学した。  帰国子女だからか、もともとそういう性格なのか、どこか大人びていて、でも話をすると、急に子供みたいにはしゃいだりする。  誰とでも仲良くなれる彼女の周りにはたくさんの友人がいたのに、なぜか私に色々気を回してくれる。そうして、いつの間にか親友になってくれた。  そんな明子からのメッセージは『荷物届いた?』だった。  大学に行けば、ほぼ毎日顔を合わすのに、荷物を送った、とは?  不思議に思いながらも郵便物をあさっていると、DMに紛れて郵便局からの不在票を発見した。    不在票をまじまじと見ながら、明子の番号を押す指が戸惑う。  明子には、まだ今日の事を言う決心がつかなかった。  今この話をしたら、感情的になって余計なことまで口走りそうだったし……。  経緯を話した途端、下手したら向こうへ乗り込みに行くかもしれない。(彼女はそういう熱いところがある人だ)  まずは、悟られないようにしなきゃな……。  それだけを思いながら、無意識にコール音を数えた。   「あ、明子? あ、あのね、今日不在にしてて、荷物受け取れなかったから、明日受け取ってから大学に行くけど……。  なんでわざわざ郵送? 持って来られないような大物なの?」  明子は彼女らしからぬ、はっきりしない口調で、本の種類がどうとか、あたしの趣味じゃないから、とか……よくわからない。 「なに? はっきり言って」  わけがわからず聞き直すと、今度は少し早口になりながらも、はっきりとこう言った。
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