65人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
明子は、中学から6年間イギリスに住んでいた帰国子女で、高校3年時に私のクラスに編入してきた。
そして卒業後、こういうのを『腐れ縁』っていうのかな。
申し合わせたように、二人とも同じ大学の同じ学部に進学した。
帰国子女だからか、もともとそういう性格なのか、どこか大人びていて、でも話をすると、急に子供みたいにはしゃいだりする。
誰とでも仲良くなれる彼女の周りにはたくさんの友人がいたのに、なぜか私に色々気を回してくれる。そうして、いつの間にか親友になってくれた。
そんな明子からのメッセージは『荷物届いた?』だった。
大学に行けば、ほぼ毎日顔を合わすのに、荷物を送った、とは?
不思議に思いながらも郵便物をあさっていると、DMに紛れて郵便局からの不在票を発見した。
不在票をまじまじと見ながら、明子の番号を押す指が戸惑う。
明子には、まだ今日の事を言う決心がつかなかった。
今この話をしたら、感情的になって余計なことまで口走りそうだったし……。
経緯を話した途端、下手したら向こうへ乗り込みに行くかもしれない。(彼女はそういう熱いところがある人だ)
まずは、悟られないようにしなきゃな……。
それだけを思いながら、無意識にコール音を数えた。
「あ、明子? あ、あのね、今日不在にしてて、荷物受け取れなかったから、明日受け取ってから大学に行くけど……。
なんでわざわざ郵送? 持って来られないような大物なの?」
明子は彼女らしからぬ、はっきりしない口調で、本の種類がどうとか、あたしの趣味じゃないから、とか……よくわからない。
「なに? はっきり言って」
わけがわからず聞き直すと、今度は少し早口になりながらも、はっきりとこう言った。
最初のコメントを投稿しよう!