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俺も大人になった。七生が最も信頼し、このデッキで大会出たいとか目論み、俺を叩き伏せて来たマジシャンデッキに対抗し得るデッキが脳内を駆け巡る。そして………!
「これ使う」
「トゥーンデッキ!?」
俺には解る。七生はこの、デフォルメされたモンスターが軸のカード達をマジシャンデッキの次に『コレクションとして』大事にしていたが、このデッキには秘められた可能性が眠っている。リスクは高いが……!
「カスタムするから5分ちょうだい」
「お、おう………」
無印のブリキ缶には雑魚カードボックスの他に、マジックカードボックス、トラップカードボックスもある。いずれもどのデッキにも組み入れられる使いやすいカードがこれまた整然と収納されている。きちんと『装備魔法』とか『永続魔法』とかに分類されて。この中から俺に必要なカードを探す。与えられた時間は5分……10分って言えば良かった。数が多過ぎて繰って行くだけでも時間が過ぎる。
七生のマジシャンデッキは畳み掛けるようにこっちのライフを削って来る。ブラマジ、ブラマジガールと言った主要カードのほか、鬱陶しいピケクラも侮れない。あいつら可愛い顔してやる事が地味にえげつないんだ。ブラックパラディンの召喚に成功した日にゃ血も涙もない喜々とした顔で幼気な弟を撃破して、悦に入っていた事を俺は忘れない。
とにかく七生お得意の流れに乗せず、泥沼のトゥーンワールドから脱出させない補強カードを探せ……!
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