10人が本棚に入れています
本棚に追加
中米にあるこの日本人学校に、私が赴任したのは2年前の4月。1学年1クラスのこの学校では、小学1年生から中学3年生まで、約150人の児童生徒が日本の公立校とほぼ同じカリキュラムで学んでいる。
私は初年度に5年生、翌年に3年生を担任し、3年の任期最後の今年度に1年生を任されることになった。小学校の教師になって12年、1年生を担任するのは初めてだ。
1年生の担任は、ダントツに大変だと言われている。入学時の児童の習熟度がバラバラだからだ。
入学前に全く教育を受けていない子は、自分の名前も読めない。体育の着替えが一人でできない。決められた時間には座っているように、躾けられたことがない子もいる。
日本にいても難しい1年生の担任だが、日本人学校となると更にハードルが高い。
私が担任する今年の1年1組は23人。混血児が5人いて、うち2人は日本語があまりわからない。
1年生は、夏休み前までにひらがなの読み書きと、足し算引き算を学習する。
日本で育った1年生を想定したスケジュールなので、日本語を母語としない児童をフォローしながら授業を進める困難さは想像に難くない。
言葉よりも、文化の違いに唖然とすることもある。
3時間目の授業中、おやつの袋を開けたことを注意すると、ディエゴは慌てて手を合わせ、「イタダキマス!」と言ってから食べ始めた。
嘘のような本当の話。
ここには、日本の小学校では経験できないような驚きが溢れている。
最初のコメントを投稿しよう!