改編 魔力喰らいの伝説

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 「…我が主は、有能な医者なの。多分、 この国で一番の医者だと思うわ。でもその 方法は、この国で一番危険なの。」  「方法って…医者は医療系に特化した 魔法使いのみがその学校にいって、魔法を ならってなるんだろ?方法の違いがある のか?」  言ってみれば医者は皆同じ魔法を使う。 だから方法の違いなどあるはずもなく、ある のは経験の差くらいなものなのに。  だがミルはぶんぶん首を振ってそれを 否定した。おお、そんなにか。  「あるのよ!…そういう意味では、主は 違法ってことになるのかしら。主は医療系に 特化してはいるけれど、医療魔法は1つも 使えないから。」  「…は?いやいや、確かにラグアさんの 魔法は他で見たことねぇけど…え、じゃあ 俺は何をされたんだ?」  「そんなの、見ての通り…いえ、ごめん なさい、混乱するわよね。…我が主は特異な 体質を持つお方。病気や魔力を、食べること が出来るの。」  そう言ってミルはこちらの反応を窺う ようにチラリと目線を向ける。そして視線を 向けられた俺はポカンと口を開いていた。  魔力を食べる?そんなの、俺がかかってた 病気の強化バージョンみたいなものだ。 じゃあ俺の病気も食われたということか。  「へぇ…すごいな。でもそれとこの状態と どんな関係があるんだ?」  「…驚かれないのね?」  「そりゃあな。」  最近までその下位互換みたいな病気に かかっていたのだ。そんなの持ってたら 病気を全部貰ってほしいとか言われるだろう し、奇特な目で見られることもあるだろう。  そういう意味では、俺はこの人を馬鹿に したり、すごいすごいと感心してもダメだ。 そう伝えると、ミルは目を見開いたあと、 ふわっと笑った。  「優しいわね、ミュゲル様。そんな貴方の 優しさにつけこむようで悪いのだけど、 2つお願いがあるの。」  「願い?」  「そう。1つは、このネックレスにもう 一度魔力がほしいの。それからもう1つは… お願いしますっ!!」  突然ミルがガバッと頭を下げ、土下座の 体勢をとる。  「お願いします…どうか、ラグア様の お弟子になって。そしてラグア様を…我が主 を、助けて…!」
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