ラグアのお弟子

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ラグアのお弟子

 お弟子?お弟子って、ラグアさんに弟子 入りしろってことか。ネックレスに魔力は ともかく、なんで弟子入り。  そんな俺の内心が伝わったのか、ミルが 解説してくれた。  「あのね、我が主の特異な体質については さっき言った通りよ。そしてそんな体質を 持つ主のもとには、いつも難病患者がやって くるわ。」  ふむ、と頷く。これについては何も 言えない。俺だって偶然とはいえラグアさん に治して貰った難病患者の一人だ。あんなに スパッと治してもらえるならそりゃ来る。  「主は自分で病気も治せる…というか、 自分にかかった病気なら治せるの。でも、 たまに、本当に稀に、こんなことに…。」  そういって見せられる赤ん坊。え、これ 病気のせいなのか。そんな病気知らないが。  「これ、なんの病気だ?」  「単に体が若返るだけよ。でも、ミュゲル 様なら知ってるでしょう?体に入りきる 魔力量限界。」  「あ。」  そうだ。俺の場合高校生の平均的なサイズ の体に莫大な量の魔力が蓄積していて 化け物待ったなしだった。  と言うことは、今ラグアさんは俺とは 逆の立ち位置にいるわけだな。元々体に ピッタリの魔力量だったのに、体が小さく なって収まりきらなくなった、と…。  「え、それ危なくね?もしかしてラグア さん怪物になる一歩手前とか…」  「そんなヘマをやらかすわけないでしょ、 もう病気は完治してるし、魔力だって少し ずつ減らしてたんだから。…まあ、それで こんなことになったのだけど…。」  そういってプイッと視線をそらされる。 こんなこと?病気が完治してるならさっさと 元の体に戻ればいいのに。  そこまで考えて、ん?と思い止まる。 体が小さくなるから、魔力量も減らした。 病気は完治した。今元の体に戻ると、 小さい体分の魔力しかないわけで…。  「魔力が足りないのか!」  「そうなのぉおおおお!!」  わっと顔を覆ってしまった。なるほど、 だから魔力が欲しくて俺を呼んだのか。確か に今、俺は病気の余波で他の学生よりは 魔力が多い。ラグアさんに分ける分くらいは 捻出できるだろう。  さて、それはそれで解決として、だ。  「そりゃ魔力くらい渡すけどさ。もどって なんで俺を弟子にしようと?」  そうだ、元は俺の弟子入りの話だった。 ラグアさんに体を戻してもらいつつ魔力を 少しずつ渡していると、ミルはにっこり 笑っていった。  「そりゃ、病気を吸収する魔法使いを 増やして、我が主の負担を減らすためよ!」  「…は?」  シリアスはどこかにいったらしい。 つまり俺に、魔力タンクから病気タンクに なれということか。ふざけるな。
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