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家に帰る頃には、自分でも立っているのか寝ているのか分からない状態だった。道中は散々寒いと思ったのにも関わらず、今となっては苦しいとか、辛いとか、そういったものさえあまり感じなくなっていた。ただ、眠い。それだけである。
「……へッ」
本格的にマズイな、と思う。せっかくシドに勝てたのに、これでは相討ちではないか。――いや、そういうのも悪くないだろうか。
家の床に寝転がりながら、浅い息を繰り返す。貧血だ、と冷静に考える自分がいたが、まさか暁闇街に輸血する設備があるわけでもない。アサヒあたりの助けを借りたいところであったが、都合よく現れてくれるなどという期待をする気力もない。
せめて、と床に積み上がっているパーカーや、ハンガーにかけてあるシャツなどで止血しようと試みたが、ほとんど意味をなさなかった。このまま死ぬのかな、と他人事のように考えていたが、そのうち意識は独りでにフェードアウトしていった。
意識の片隅では、ハオの安全を祈っていた。
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