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「美雪、こっちにおいで」
僕がそう呼ぶと、君は何も疑いもせずうれしそうにすり寄ってきた。
その白く細い首を僕は左手で乱暴に掴んだ。
それでも君は僕の顔を不思議そうに見つめるだけだった。
僕は嗚咽し、涙が頬を伝った。
君と過ごした3か月の日々が僕の脳裏を駆け巡った。
僕は君のことを本当に愛していたんだ。
もうやめよう・・・僕は何度もそう思った。
僕は君を抱きしめ、これからも君と過ごす日々を続けることを想った。
しかしもう遅かった。
僕の右手のナイフはすでに君の喉を切り裂いていたのだ。
僕が受精卵から3か月、「美雪」と名付け愛情を注いで育て上げた雌鶏はこうして肉になった。
鍋と焼き鳥にして食べた美雪は、期待通り美味しかった。
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