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百害
全く、嫌な話を聞いたものだ。
お陰で、妙に足音が気になって仕方がない。
鵙の鳴き声が、やけにうるさい、うるさい、うるさい……!
耳を塞げば今度は、彦八の陰鬱な声が甦る。
「――事の発端はね、大したことじゃあございません。酒の上での口論……まあ、よくありますことで」
そう。そうとも、よくあることだ。
「今となっちゃあ、斬った方も斬られた方も、口論の元が何だったのかなんて、覚えてなんぞおりませんでしょう」
そして、ここは異なっている。
俺は覚えている。ようく、覚えているぞ。
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