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サークル終わりのある日、戸締まりをして会場を後にしようとしたその時、
「奥山さん」
不意に呼び止められて声をした方を見ると、ポツンと吉野さんが立っていたの。
「あら、どうしました吉野さん」
吉野さんはおずおずと私に近づいて、たどたどしくこう言ったわ。
「奥山さんさえよかったら、あたしにその、教えてくれませんかねぇ」
「教えてって……百人一首をですか?」
「ええ」と気恥ずかしそうに頷く吉野さん。
さすがに一枚も取れなかったのは悔しかったらしく、私に個人レッスンをして欲しいとお願いしてきてね。私も篠原さんにやられっぱなしはいい気がしないんで快く引き受けたわ。
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