100回目のありがとう

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 前置きが長くなってしまったが。  私が本格的に、一次創作中心で物語を書くようになったのは実のところそう遠い昔のことではない。  2018年7月15日。  エブリスタに登録してからのことである。  まだ一年も過ぎていないが、私は本気で“エブリスタのおかげで人生が変わった”と思っている一人だ。  きっかけは、当時ほぼほぼROM専だったTwitterで宣伝が流れてきたことである。Twitterなどの宣伝が一体どういう基準で選ばれるのかはわからないが、小説の話題を見ることが多かったり検索することが多かった、からなのかもしれない。  エブリスタというサイトがあること自体、それまで私は知らなかった。流れてきたのは『三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第79回「私が死んだ理由」』の広告である。〆切はそう遠くはなかった。小説のコンテストにちみちみと応募して、応募する先から落選していた時のことである。その頃私は、少し自信のあったホラー長編である『賽の目壊し』が、コンテストで選外だったことで少々自信をなくしていた時だった。  それに加えて、リアルの問題もある。昔から人間関係で揉めることも多く、自分の将来への不安もあり、正社員時代に稼いでいた貯金もうまく貯められなくなっていた時だった。ゆえに、最初はそのコンテストを見ても“面白そうだけど、また駄目なんだろうなあ”というのが本心だったのである。  きっとそれが長編コンテストだったなら、〆切を見て私も諦めていたことだろう。二次創作はちみちみと続けていたが、オリジナルの長編をがっつりとコンテストのためだけに書ききるだけの気力が正直なかったのである。書きたいネタはたくさんある。やりたいこともある。けれどそれが何の意味を持つのだろうとさえ思っていた。――人間関係で揉めていた、というのは。何も表の世界だけではなかったのである。その頃私は、ネットの方でも少々ならぬトラブルを抱えてしまっていたのだった。詳細は省くが、いわゆる“ネットストーカー”的なものに悩まされていたのである。とある二次創作を書いた折り、特定のユーザーが解釈違いで絡んできたのが始まりであったように思う。自分の住んでいる場所が割れたら殺されるのではないか、と思うくらいには脅迫的なものがあったのだ。  ゆえに、何か大きな希望があって、エブリスタに登録しコンテストに参加しようと思ったわけではない。  むしろ希望なんて殆どなかったかもしれない。長年“悪の権化”“災禍の魔女”として使ってきたオリジナルキャラクター、アルルネシアの過去の話を投稿してみようと思ったのも深い考えがあってのことではなかった。愛着があり自分なりに出来上がっていたキャラクターで、そこそこ“そのキャラ好きです”的な声も聞いてはいたが、その程度といえばその程度だ。ただ、短編としてなんのとっかかりもなく、短期間の〆切で書き上げられるのが彼女の物語であったという、いわゆる消去法的な理由であったことも否めない。  小説を書きたい。書きたくてたまらない。  でも自分に才能がないことは、数々の落選が証明している。自惚れる気がないどころか自惚れる理由が一切無い。お前の作品なんか視界に入れたくないと攻撃してくる人までいる始末。こんな自分が、本当に小説を書いていていいのだろうか。恐らく書くことをやめはしなかっただろうが、そうやって悩んでいたのは事実だった。  プロが“読む価値もない””読む気にもならない”ような作品ばかり量産しているくせに、私自身がそれをわかっていないだけだったらどうしよう?  そんな作品を押し付けることは、ただの迷惑でしかないのではないか。閲覧数や誰かの評価ではない――見るのも苦痛になるほど技量が低いのに、その正しい自覚がないだけではないのか、ということが私にとって最大の問題だったのである。
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