第1章

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普段人気がないから、それともだだっ広い空間に無機質な物しかないせいなのか。 実験室は教室よりヒヤリとした空気で満ちていた。 出席番号順に振り分けられた1班6人で作業台を囲む。 「ふぁぁぁぁー」 隣で豪快に口を開けて大きなあくびを落とす柴田くんに思わず笑ってしまった。 「おっきなあくび」 「あ?だって、ただでさえ春は眠いのに、弁当あとの実験なんてさ、だるくてしょーがないわー。 冴島来たら起こして」 そう言いながら、ぐでーっと、机に溶けて瞼を閉じてしまった柴田くんに「分かった」と返事しながら、クスクスと零れる声を隠せなかった。 相変わらずだなぁー。 昨日も遅くまで、絵、書いてたのかな。 投げ出された指先に残る、絵具の色が創作していたことを物語っていた。 采女だけじゃなく一緒に柴田くんとも、同じクラスなんて、ホント、ラッキーだな。 秒殺で規則正しい寝息を立て始めた柴田くん。 その寝顔を、ぼんやりと見ていると、心がほんのりと温かくなる。
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