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プロポーズ
一回目、あなたは、いいよと嬉しそうに返してくれた。
二回目には、大人になったらねと先伸ばしにされた。
五回目からは、困ったように微笑まれ。
十回目からは、冗談として流されるようになった。
百回目、ごめん、と答えたあなたの顔はとても苦しげだった。嘘だよとわたしは言った。他に、言葉が見つからなかった。
百一回目は、もう訪れない。
最初から家族だったひととは、家族に「なる」ことができない。そのことに気付くまで、随分長い時間がかかってしまったけれど。
今日、わたしは結婚する。
ありがとう、そして、さようなら。
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