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流浪として流れてきた為、今まで安心して夜を過ごせなかったのだろうかと思えば、政宗は彼女の立場が不便で辛そうに見えた。
姫だった以上、勿論敵に狙われる…。だからこそこんなにも彼女を守りたいと政宗は想っている。
「暫くは敵も戦を起こさねぇと思うぜ?オレが居るからな」
「……だと良いんだがな…」
政宗からの言葉に、さくらは夜空を見上げながら呟くように答えた。
「眠れねぇんだろ?酒付き合えよ」
「…別に構わないが…」
彼女の事を知りたい、そして願うことならば心から笑わせたいと考えた政宗は、さくらを誘った。
彼女を連れて政宗は自室に入れば、適当に座らせてから二人分の酒を女中に持ってこさせた。
「今更だが飲めるか?」
「問題ない。嗜む程度に飲んでたからな」
自分で杯に注いだ酒を飲んでからさくらは、はっきりと言った。
出来る限り、酔わないようにしているらしい…。
「そうか、流石はオレが見込んだladyだな」
何と無く知り合いの忍の気配に気付いた政宗はさくらに気付かれないよう、ちらりと隻眼で庭先を見てから彼女に言った。
「褒め言葉として受け取っておく。それと、誰か居たのか?」
「何でも無ぇよ、気にすんな」
恐らく敵情視察だろうと考えた政宗は、来る好敵手との戦を、楽しみにしていた。
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