10人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
「朝飯食ったら稽古付き合えよ」
「別に構わないが…」
襖を開け、部屋に入ってきた政宗からの言葉にさくらは、少しだけ考えてから小さく頷きながら承諾した。
朝食後
さっさと済ませたさくらは、一旦部屋に戻ってから大型刀を背中に背負い、庭に向かった。
庭に着いた時、さくらは微かに遠くから感じる戦の匂いに気付いた。
間違っても政宗が大将をしている軍からでは無いと、確信は出来ている。
「待ったか?」
「いや、今来たところだ」
「そうか」
「あぁ」
自分の後に来た政宗からの言葉に、さくらはそちらを見てから小さく頷いてから言った。
「稽古の前に、一つ手合わせしろよ」
「…構わないが…」
ふと政宗は彼女の実力を知りたいと思ったのか、上機嫌そうに笑いながら言い、返ってきた返事には更に気を良くした。
気を良くしつつ、刀を構えた政宗は腕組をしたまま構えない彼女にきょとんとした。
「構えねぇのか?」
「あぁ」
彼女からの返事に、政宗は不思議に思いながらも手加減はしたくない為、先手を取った。
自分に向かってきたのを見たさくらは、腕組を解いてから、背に有る大型刀の柄を掴んだ。
彼女目掛けて刀を斜め下から振り上げたが、瞬時に何かに弾かれてしまう。
「♪~、やるじゃねぇかアンタ」
「…世辞だけ受け取っておく」
さくら自身、手加減が難しい為高速剣では無く、風斬りで対抗した。
最初のコメントを投稿しよう!