姫が戦う理由

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何かを考えている様子のさくらに気付いたのか、政宗はちらりと気付かれないよう彼女を見た。 「小十郎、後は任せたぜ」 「承知」 彼女を気遣うように一瞥してから、前方に現れた好敵手を見つつ、愛馬から降りて向かった。 「よぉ、真田幸村」 「政宗殿、此度は何処へ参られるのだ?」 「そいつはsecretだ」 「ぬぅ…。だが、此処で会ったのも何かの縁故、お手合わせ願う」 政宗から行き先は教えられなかったが、好敵手が甲斐武田領地に居る以上、刃を交えたいのか幸村は二槍を手にした。 「甲斐は単なる通り道だ。悪ぃが通らせてもらうぜ」 幸村の様子に小さくニッと笑い、最初から本気で刃を交えるのか六爪を構えた。 「時に…あの女子は誰で御座るか?」 「アンタが気にする奴じゃねぇよ」 幸村からさくらの事を聞かれれば、少しだけイラッとしたのか、六爪を構えたまま、一気に間を積めた。 「あの子は?右目の旦那」 「てめぇが知る事じゃねぇ。あいつを狙うなら容赦しねぇぞ」 「…へいへい(まぁ、一雑兵と見る方が良いかも知れないけど…何か底知れない雰囲気なんだよねあの子)」 佐助は小十郎と対峙しながら、ちらりと彼には気付かれないようさくらを見てから、少しだけちょっかいを出してみようかなと考えたのか、分身を数人出してから彼女に向かわせた。 「……忍か」 少しばかりぼんやりしつつ、何かを考えていたさくらは、自分に向かってきた佐助の分身を見てから溜息混じりに呟き、馬からは降りず、背中に背負っている大型刀の柄を握ってから、速い抜刀の風斬りで瞬時に返り討ちにした。
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