姫が戦う理由

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彼女の技を見た佐助は、ただただ驚くしかなかった。 只の雑兵として見たのが間違いだったと…。 そう思考を巡らせていれば、僅かに対応を遅らせたのか、懐に入ってきた小十郎からの剣筋を紙一重で避けた。 「忠告した筈だぜ?あいつに手を出したら容赦はしねぇとな」 「おっかないね~」 少しだけ小十郎から距離を取った佐助は、彼からの言葉に肩を竦めながらわざとらしく言った。 彼女には何か底知れぬ雰囲気が有るため、安易な手出しは自分の墓穴を掘ることになると痛感した。 「まだあいつに用が有るみてぇだな?」 「まぁ、無いって言えば嘘になるね」 自分が手を出しても返り討ちに遭うのは目に見えてるが、彼女には興味が湧いた。 小十郎や政宗が大事に護ろうとしている彼女は何者なのか…また、彼女の素性とは…? 佐助は2つの疑問を抱き、少し調べてみるかなと考え付いた。 一方、政宗と対峙している幸村もさくらの事が気になっていた。 まだ、彼女の力を知らない幸村は是非とも、一度手合わせをしてみたいと思っている。 そう思われているとは知らないさくらは、ふと遠方に憎い敵の気配に気付いたのか、そちらを険しい表情で見据えた。 不意に、政宗と戦っている幸村が炎を出したのを見れば、無意識に幸村を警戒した。
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