姫が戦う理由

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そう思われているとは知らず、さくらは風魔の気配に気付いたのかそちらを見てから睨んだ。 「(今のところは俺の様子見か…)」 そろそろ二人の決着も着きそうだなと思いながら、さくらは何かを考えていた。 数刻後 再び幸村との再戦を夢みながら、政宗は部下を引き連れて馬を走らせた。 「何やらすっきりされましたな?政宗様」 「まぁな。猿には釘を指したか?」 「ご心配無用です。もし彼女の事を調べようとする場合は、奴を叩き伏せるまでですから」 「容赦ねぇな小十郎」 「恐れ入ります」 腹心からの言葉に、政宗は少しだけ上機嫌そうに小さくフッと笑いながらさらりと言ってやった。 陣を張らせてから、政宗は少しだけ遠方に居るさくらに近付いた。 「何か悩み事か?」 「…いや…大した事じゃねぇよ」 政宗からの問い掛けに、さくらはそちらをちらりと見てから気の無い返答をした。 既に戦場近くの為、いつ狙われても可笑しくないとさくらは考えているため、あまり気を抜けなかった。 敵の狙いは自分だとは分かっているため、政宗達まで巻き込むつもりはないと考えている。 「アンタが何を考えていようが、オレはアンタを必ず守ってやるからな。promiseだ」 まだ形だけの仲間かも知れないが、政宗は彼女を悲しませたくなかった。
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