姫が戦う理由

7/14
前へ
/135ページ
次へ
「…気持ちだけ受け取っておく」 必ず自分を守るという政宗からの言葉に、少なからずさくらは内心で嬉しいと思った。 さくらは少しだけ胸騒ぎを感じていた。 両親達の仇討ちとは言え、敵を倒したとしても死んだ者が生き返るわけではない。 「…忍に見られてるのか?」 「さっきからな。まだ手を出して来ねぇから恐らくは俺の様子見だろ」 同じく、忍の気配に気付いた政宗は四隣を見ながらさくらに聞いた。 少しだけ手痛く迎撃するかと彼女は考えているのかも知れない。 「少し見て回るか?」 「いや…俺一人で行く。軍の大将がむやみやたらに本陣を離れたら元も子もないだろ」 自分に付いて来そうだった政宗からの言葉を、さくらはやんわり断ってから風魔の気配がした方向に向かった。 一人で向かう彼女の背中を、政宗は少しだけ心配そうに見つめながら見送った。 本陣から離れた場所に来れば、さくらは警戒をしながら歩いた。 案の定、待ち伏せをしていたのか、彼女目掛けてクナイが数本投げられた。 咄嗟に気付いたさくらは、高速剣では無く風斬りでそれらを打ち落とした。 それと同時に、つむじ風と共に忍-風魔小太郎-が現れた。 「…………」 言葉を発せず、ただただ風魔は彼女に敵意を表していた。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加