姫が戦う理由

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巨大な手裏剣を弾いてから、それの後ろに居た小太郎から忍刀の攻撃には、大型刀の背で防いだ。 さくらは小太郎から注意を怠らず、手痛く返り討ちにさせるかと考えれば、いつでも瞳術を出せる雰囲気を出した。 流石に彼女の瞳術は知らないのか、小太郎は害意を持って攻撃を仕掛けた。 目を閉じていたさくらは、気配で小太郎からの攻撃に気付けば、金色に光らせた眼-瞳術-で返り討ちにした。 さくらの瞳術を見てしまった小太郎は、忍刀を逆手に握れば、自分でそれを左肩に深く突き刺した。 負傷した小太郎は、風に纏ってその場から消えた。 「(逃げたか…)」 既に居ない小太郎に、さくらは眼を普通の紫眼に戻しながら内心で思った。 恐らく小太郎は、松永に伝えるだろうなと思いつつ、政宗が居る本陣へと向かった。 さくらが本陣へと戻ってくれば、彼女に気付いたのか、心配していた政宗が足早に近付いてきた。 「怪我してねぇか?」 「あぁ、取り敢えずはな」 「そうか」 彼女からの言葉に政宗は一安心したのか、小さくフッと笑いながら頭を撫でてやった。 風魔小太郎は忍としての力は、ライバルの幸村に仕えている佐助より上だろうと政宗は密かに感じた。 以前は北条に仕えていたが、今は恐らく隠居をした為だろう、前主を静かに暮らさせてやりたいと考えたのか、自らが離れてから新たな主として松永に仕えたかも知れない…。
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