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徳川領地へと入った伊達軍は、斥候に付近を調べさせた。
ふと、何らかの視線に気付いたさくらは辺りを見渡した。
「どうした?」
「いや…何でも無ぇよ」
「そうか。なら良いけどな」
彼女の様子に気付いた政宗は、本陣を腹心に任せてから、彼女に近付きながら聞いてみた。
さくらからの言葉に、一先ずは安心するが、少しだけ一抹の不安が過った。
進軍する前、敵の忍と戦ってきた彼女に政宗は嫌な予感がするなと感じている。
彼女が戦う理由…両親達の仇討ちかも知れないが、それを成し遂げた後また流浪として流れるのではないかと…。
「徳川は好戦的じゃ無ぇと言うが、何か有るのか?」
「奴も真田幸村と同じ通過点に過ぎねぇよ。それに徳川は近々関ヶ原で石田三成と闘り合うつもりみてぇだからな」
さくらからの問い掛けに、政宗はニッと笑いながら言いつつ遠くを見ていた。
流浪として出る前、徳川家康の事は聞いていたが、まだ一度も会ったことはない。
「本多はどう出し抜くつもりだ?生半可な攻撃じゃ止められねぇぞ」
「それならお前が居るだろ?本多は任せたぜ」
「……簡単に言ってくれるよな…」
政宗からの言葉に、さくらは目をパチクリさせてからため息混じりに承諾した。
政宗は彼女の頭を撫でてやってから、小十郎には部下を任せ、彼女を連れて向かった。
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