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政宗を家康の元に向かわせてから、さくらは本多忠勝を未だ半分の力しか出さない高速剣で停止させた。
徳川家康という良い主を持っている家臣達には、裂傷等を負わせる程度に加減はしている。
あっという間に蹴散らしたさくらは、背中に大型刀を納刀した後、明らかに自分を見ているであろう視線に気付けば辺りを見渡した。
「(奴…じゃねぇかも知れないが、警戒だけはしておくか)」
紫眼を細めてから内心で思い、警戒をしながらさくらは歩を進めた。
家康の元へと向かう途中、異様に徳川軍兵士が何者かによって負傷しているのを見たさくらは、歩を止めた。
恐らく家康は気付いてないかも知れない…だが、さくらは異様な風の正体に直ぐ様気付いた。
徳川軍に忍は居ない…つまり、敵軍の忍が紛れ込んでいるのだ。
大型刀の柄を握ってから、いつでも攻撃出来るようにさくらは身構えた。
周りを見渡す限り、徳川領地から出るには一旦本陣が有る場所へと向かわなければならない…。
だが、さくらは小十郎達を危険に晒したくないと考えている。
ならば、犠牲を出さぬよう自分一人だけに的を絞らせると考えたさくらは、足を軽く肩幅に開いた。
微かな火薬の匂いに、さくらは警戒を強めた。
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