姫が戦う理由

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その頃 さくらはなるべく政宗が戻ってくるまでには、敵を追い払おうと戦っていた。 無意識だが、相手だけには怪我をして欲しくないと考えている。 忍らしい速度で彼女を撹乱していた小太郎は、ふと此方に近づいてきている気配に気付いた。 近付いてくる人影を捉えた小太郎は、そちらに向かった。 「(させるか…!)」 足の早さなら多少自信が有るのか、さくらは小太郎を追い掛けた。 小太郎が狙いを定めた人物に何かを投げようとした同時に、さくらが間に入った。 躊躇せず、小太郎は何かが入った小瓶を彼女の目に目掛けて割った。 流石に予想してなかったのか、何らかの液体を両目に受けてしまった。 「(ちっ…)」 「さくら!」 無意識だったが、彼女が身を呈して庇った人物…政宗が膝を付いた彼女を心配した。 「大丈夫か?」 「…どうやら、目をやられたな」 目的を果たした小太郎はいつの間に居なくなり、それを見ずに政宗はさくらの目を見て驚愕した。 彼女の目が塞がれてしまったと…。 目は見えずとも、場所等は分かると言う彼女の手を握ってから政宗は本陣に戻った。 彼女を傍に居させてから、政宗は腹心の小十郎に事の顛末を告げた。 「…厄介な事になりましたな…恐らく、彼女の瞳術を知った松永が風魔を使って彼女の目を塞いだとしか考えられませぬな」 「それしか無ぇな。あのオッサンにはちと痛い目に遭って貰うしか無ぇか」 彼らの姿は見えないが、さくらは二人の話に耳を傾けていた。 しかし、目を塞がれたとは言えさくらは 瞳術を身に付ける前に、生前の父親から 教わり目を閉じていても気配や敵味方の区別等が分かる。
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