閉ざされた姫の瞳

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閉ざされた姫の瞳

「暫くは一緒に乗るぞ」 「……悪いな…」 政宗から聞いた言葉に、さくらはそちらに顔を向け呟くように頷いてから言った。 「気にすんな。お前は何も悪くねぇよ」 何と無く彼女が落ち込んでいると分かれば、政宗は小さくフッと笑い安心させる様よしよしと頭を撫でてやった。 政宗は先に自分が愛馬に乗ってから、彼女を前に乗せて走らせた。 「そう言えば…徳川との決着は付いたのか?」 「それなりにな」 彼女が愛馬から落ちないようにしながら、問い掛けれた言葉に政宗は肩を竦めながらさらりと言った。 「そうか」 政宗からの言葉に、さくらは内心で何かを考えながら呟くように言い、自分なりに落ちないようにしていた。 「見えなくて不安か?」 「少しだけな…まぁ、数日位の我慢だとは思うが…」 「なら良いけどな」 彼女の瞳が塞がれている間は、自分が絶対に守ってやると考えている政宗は、前を見ながら言った。 数刻後 辺りは暗くなり、夜道の進軍は危険過ぎると小十郎からの意見に、政宗は陣を張って野営で夜を過ごすと小十郎に伝えた。 自分が先に降りてから、彼女を降ろせば手は離さないで居た。 「一人で大丈夫なんだが…」 「Noだ。お前はオレの傍に居ろ」 数日の我慢とは言え、彼女を一人にしてしまえばどうなるかが、政宗には安易に想像出来てしまう…。 目が見えない今の彼女に、松永は絶好の機会だと思って動いてくるに違いない。 「……分かった…」
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