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「ま、大将が気にする事じゃないよ。アンタは自分が出来る事を集中したら良いし」
「…そうだな」
気にするなと言われるものの、幸村はさくらの事が気になってしまっていた。
「それよりも、関ヶ原はどうすんのさ?」
「勿論向かうぞ。今更後には引けぬからな」
「アンタならそう言うと思ったよ」
幸村からの言葉に、ヘラっと笑ってから佐助は闇に消えた。
幸村はそれを見届けてから、今度さくらに会ったら一言謝ろうと決めていた。
政宗が彼女を必死に守りたい理由がやっと分かった気がしたから…。
場所は離れ、伊達軍は夜明け前に進軍を開始した。
さくらは政宗の馬に乗せられ、微かな匂いに気付いていた。
仇敵が居る場所が近付いていると言う事だ。
「(火薬の匂いがするな…)」
「どうかしたか?」
「いや…大した事じゃねぇよ」
何と無く彼女の様子に気付いたのか、政宗はそちらを見てから聞いてみた。
彼女からの返答に、目を塞がれている状態の彼女だけで行動させる訳にはいかないと考えている。
「そうか。もうじき着くが深追いはすんなよ?」
「…努力はする」
数刻後
目的地に着いたのか、馬から降りた政宗は部下に気合いを入れさせ、彼女を連れて歩を進めた。
「…お前は帝の所に行けよ。俺なら大丈夫だ」
「何言ってやがる。お前を一人には出来ねぇよ」
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