閉ざされた姫の瞳

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足利義輝の元へと向かうならば一緒にと考えている政宗は、彼女からの言葉を拒んだ。 「……奴には風魔が居る。そいつの相手は任せるからな」 「それならokだ」 さくらは政宗に拒まれれば、仕方ないと思ったのか小さく溜息を付いてから、小太郎の相手を頼んだ。 目を塞がれている為、細かな距離は難しいが、技は出せるから大丈夫だろうとさくらは考えていた。 「……お前の姿をもう一度見てぇな」 「何か言ったか?」 「何でも無ぇよ。独り言だ」 小太郎の気配を察知した政宗は、さくらを自分の後ろに隠しながら、聞こえた言葉にわざとらしくきょとんとしていた。 独り言と言う彼女に対し、しっかりと聞こえていた政宗も、彼女の硝子の様に綺麗な紫の瞳をもう一度見たいと想っている。 「そうか。あんまり無理すんなよ?」 「分かってる」 政宗は彼女の頭を数回撫でてやってから、小太郎と対峙した。 政宗と少し距離を取ったさくらは、背に背負っている大型刀の柄を掴みつつ仇敵の気配がする方へと顔を向けた。 「ご機嫌よう、桂木の姫君。私の姿が見えるかな?」 「……ふん、お前のお陰で見えねぇよ」 仇敵とは刃を交えた事は無いが、さくらはいつも以上に警戒をしながら、気配だけで構えた。 「それは残念だ。卿の瞳を一度は拝見したかったのだがね」 「………良く言うぜ」
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