閉ざされた姫の瞳

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さくらは、徐々に強くなる火薬の匂いに眉を潜めていた。 無意識だが政宗の方も気になるのか、早期決着を試みようと、柄を握ったまま仇敵に向かった。 「目が見えずとも私の位置が分かるのかね?いや、感心」 「…耳障りだ」 疾駆してきた彼女を見ても、松永は不敵な笑みを浮かべたまま、彼女からの軽い攻撃を自分の刀で防いだ。 後にも帝と言う敵が控えているため、なるべくなら力を温存しておきたいが、仇敵だけには手加減無用で倒したいらしい。 「親の敵討ちだとしたら実に空しいだけだと思うがね」 「………黙れ」 松永からの挑発とも言える言葉に、さくらは小さくピクッと反応してから、納刀状態の風斬りで攻撃した、 松永はわざと自分を挑発し、怒り狂う姿を見てみたいらしいが、さくらはそれを我慢していた。 挑発に乗ってしまえば、それこそ松永の思うつぼと考えている為、さくらは冷静さを保っている。 風斬りで攻撃した際、手応えを感じなかったが、さくらは気を抜かなかった。 背後から微かな火薬の匂いがしたのか、小さな爆発をさくらは辛うじて前に避けた。 「(ちっ…さっきのはやっぱり外したか…)」 地に足を付けたと同時に、跳躍すれば宙で体の向きを変えてから、気配を冷静に探した。 政宗の様子も気になったのか、押され気味の小太郎から片付けるかと考えたさくらは、そちらに向けて最大威力の風斬りで一気に攻撃した。 政宗との戦闘に集中していた小太郎は、不意の攻撃に対処が遅れた為、まともに彼女の風斬りを受けた。
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