閉ざされた姫の瞳

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「怪我してねぇか?さくら」 「あぁ」 小太郎を戦闘不能にさせてから、政宗の隣に来たさくらは、聞いた言葉に小さく頷いた。 微かな火薬の匂いからして、まだ松永は近くに居るのだろうと考えたさくらは、警戒を解かずに居た。 「まだ居るみてぇだな」 「…かもな…」 攻撃の反動で出来た土煙のお陰で、さくらは仇敵の正確な位置までは把握出来ずに居る。 「先に帝の所に行け。直ぐに俺も向かう」 「…無理するなよ?」 「あぁ」 政宗はさくらからの言葉に一瞬返答を躊躇ったが、自分が居たら彼女は必ず自分を守るだろうなと考えた。 出来る限り怪我をして欲しくない為、彼女の頭を数回撫でてやってから、帝-足利義輝-が居る場所へと向かった。 気配で政宗が向かったのを確認してから、さくらは背負っていた大型刀を完全に抜きつつ、ゆっくりと後ろに数歩下がった。 警戒していた前方から炎が迫ってきたと同時に、それが自分の前で火柱を上げた。 「…一つだけ教えておこう。卿の目が開くのは夜を5日過ごしたら自然に開く」 「(…成る程な…なら後3日位か)」 「目が開いたら直々に見せに来たまえ。親の敵討ちの私を討ちにね」 多少かすり傷を負っていたのか、松永は不敵な笑みを浮かべながら言い、先程戦闘不能にした小太郎の闇風で二人は消えた。
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