閉ざされた姫の瞳

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深呼吸をしてから、さくらは背に納刀したまま柄を掴めば駆け出し跳躍すれば、帝目掛けて最大威力の風斬りを浴びさせた。 着地したと同時に、後方に飛んでから駆けてきた政宗の気配に気付けば大型刀を抜いてから水平に構えた。 「飛ばすからこいつの背に乗りな」 「ok」 政宗は跳躍してから、さくらが持つ大型刀の背に乗った。 気配で確認したさくらは、一切の加減はせず帝に向けて大型刀の背に乗せた政宗を飛ばした。 義輝には反撃をさせる暇等与えず、政宗は勢いそのままに、全力で敵を叩き伏せた。 二人に依って戦闘不能前までされた義輝は、満足げに笑みを浮かべてから二人には何れまた会おうと言い残して去った。 さくらは、精神力だけで立っているのか深く息を付いてから少しだけふらついてしまう足取りで歩き出した。 それを見た政宗は、六爪を腰の鞘に納めてから、彼女に近寄り支えた。 「…一人で歩けるんだが…」 「無理してるのが見え見えなんだよ」 さくらからの言葉に、政宗は断り彼女を横に抱き上げてから本陣に向かった。 二人が本陣に戻れば、政宗は腹心に城に帰るぞと言い、さくらを先に愛馬に乗せ てから自分が後ろに乗れば城へと走らせた。 「城に戻ったら休めよ?」 「……少しだけならな」 政宗からの言葉に、さくらは躊躇いがちに承諾した。 流浪として旅に出てから今まで、身体を休める事は有っても心は落ち着かなかった。
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