閉ざされた姫の瞳

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馬を走らせ、城へと戻ってこれたのは2日後だった。 さくらは政宗に馬から下ろして貰えば、軽くお礼を言ってから自室に向かった。 ふらついてしまう足取りで、部屋に向かう彼女を見て政宗は心配していた。 自分達以上に、さくらは今までの旅等で疲れたりしたかも知れないが、他人には大丈夫だと言って無理をしてきたに違いないと政宗は想っている。 小十郎に愛馬を頼んでから、取り敢えず政宗も自室へと向かった。 自室に着けば中に入ってから襖を閉め、さくらは大型刀を壁に立て掛けつつ隣に座った。 今日の夜を過ごせば、後1日で再び周りを見る事が出来る。 さくらは、塞がれている目に手を当ててから何かを考えていた。 見れるようになったら、今は無い自分が幼い頃に住んでいた城に行ってみるかと…。 先程政宗には休む様にと言われたが、体は疲れている筈なのに寝付けなかった。 さくらは夜風に当たろうと思い、立ち上がり襖を開ければ部屋前の縁側に座った。 「眠れねぇのか?さくら」 「……まぁな」 心配していた政宗は、戦装束から袴姿に着替えてから彼女の様子を見に来たのか縁側に座っているのを見付ければ、声を掛けつつ隣に座った。 聞いた言葉に、さくらは隣に座った政宗の方に顔を向けず、小さく頷きながら答える。 「何か悩み事か?」 「…大した事じゃねぇけどな…」 疲れている様子にも見えるさくらからの言葉に、政宗は彼女の頭を撫でてやりながら返答に納得した。
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