閉ざされた姫の瞳

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翌日 すっかり深く寝ていたのか、さくらは朝だと分かれば何と無く抱き締められている温もりに気付き、頬を赤らめた。 「(ずっと俺の傍に居たのか…)」 これ以上彼らに迷惑は掛けられないと考えるも、政宗は決して自分を離さないだろうとさくらは思っていた。 「何考えてんだ?」 「…何でもねぇよ」 いつの間にか目を覚ましていた政宗からの言葉に、さくらはギクッとしながらも些細な事だからと言わなかった。 「…あんまり溜め込みすぎんなよ?」 「努力する…」 政宗に頭を撫でられながら聞いた言葉に、さくらは躊躇いがちに頷いてから安心させるよう言った。 彼女からの言葉に、少しだけ不満そうにしたが、直ぐ様機嫌を直せば渋々離れてやってから伸びをした。 さくらも上体を起こし少しだけぼんやりしてから、布団から出て立ち上がった。 「飯食えるか?」 「あぁ」 彼女の様子を気遣うように見てから聞き、返答に納得すれば政宗はさくらの手を握って広間に向かった。 政宗の隣で静かに朝ごはんを食べ終わったさくらは、まだ慣れない賑やかな広間からまるで逃げるように退室した。 一旦小さくため息を付いてから自室に向かい、着けば中に入ってから支度をした。 迷いは有るが、行かなければいけないような気がするから…。 「(…歩いていくか)」 支度をし終われば、部屋から出ながら思っていた。 馬を借りても良かったが、まだ少しだけ躊躇いが有るのか遠慮をした。 「行くのか?」 「あぁ…大体の道程は覚えてるからな」 彼女を心配した政宗は、丁度部屋から出て来た彼女に会えば一応聞いてみた。 「オレも行くから待ってな」 「…俺一人で良いんだが…」 「何かあったら困るだろ」
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