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一人で行くと言う彼女に対し、政宗はそれを断れば有無を言わせる前に自分を待つように言ってから自室に向かった。
政宗の言うとおり、確かに自分だけだったらそのまま流浪れる可能性も無くはないし、怪我をしてしまうかも知れないなとさくらは思っていた。
政宗は自室で支度をしながら、信頼している小十郎に城を任せつつ、さくらにとって仇敵でも在る松永の動向を夜までに調べるよう伝えてから彼女の元に向かった。
「斥候を向かわせた方が良いのでは?」
「ただの物見遊山だ。夜までには戻るぜ」
自室を出てから小十郎からの言葉に、政宗は肩を竦めながらさらりと言いくるめた。
物見遊山と政宗は言っているが、戦装束に着替え、六爪を装備しているのを見る限り油断はしていないと小十郎は判断出来た。
愛馬を連れて、さくらを待たしている場所に向かい、着けば彼女に声を掛けた。
「待ったか?」
「いや…大丈夫だ」
声がした方向に向きながら、さくらは不安にさせないように大丈夫だと伝えた。
彼女からの言葉に安堵したのか、政宗は先に愛馬に乗ってから、さくらに手を差し出してやった。
「お前は前に乗りな」
「分かった」
聞いた言葉にさくらは小さく頷き、少しだけ躊躇ったが、手を重ねてから軽々と馬に乗せて貰った。
「案内は任せるぜ?」
「あぁ」
自分の前に乗せたさくらに頼めば、政宗は愛馬を走らせた。
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