閉ざされた姫の瞳

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彼女が落ちないようにしながら、政宗は奥州を後にした。 その頃 「………」 小太郎は林の中から腕組みをしながら二人を見ていた。 恐らくさくらを拐ってくるよう主に命じられたからだろう…。 小太郎が音も無く攻撃を仕掛けようとしたその時、何かを感じたのかその場から離れた。 「アンタが何考えてるかは知らないけどさ、あの女の子には近付かせないからね」 何処からともなく闇から猿飛佐助が現れれば、小太郎に敵意を向けながら告げた。 佐助は幸村に命じられたからでは無く、自分の意思でさくらを影から守った。 さくらと刃を交えたいとは思わないが、非道な手口で怪我をさせたくないと考えている。 そうとは知らないさくらは、段々と近くなる故郷に少しだけ不安を抱いていた。 「この辺りなのか?」 「あぁ…もう少し行った所に有る」 「三代目が居る近くだったんだな」 「そいつとは知り合いなのか?」 「ちょいとな」 奥州から飛ばしてきた為、愛馬も疲れただろうと思い、休ませようと近場で先に自分が降りてからさくらを降ろし、愛馬を休ませた。 夕方前なのか、空は茜色に染まりつつあった。 さくらは政宗を連れて少し歩けば、今は所々が炭色になっている城に着いた。 「随分な有り様だな」 自分の城の次位に立派だっただろう城を見上げながら、政宗は呟くように言った。 「城が燃やされる直前、俺は兵士によって外に連れ出された」 彼女からの言葉に、政宗は何も言わず頭を撫でてやった。 恐らく、娘だけは生きて欲しいと願った両親が部下に頼んだのだろう…。
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